衣川昌宏准教授の研究グループがIEEEのRichard B. Schulz Best Transactions Paper Awardを受賞しました

2024.08.21

衣川昌宏准教授(情報学部)の研究グループが発表した論文が、環境電磁工学分野においての最高峰学会である IEEE EMC Society (アイ・トリプル・イー イー・エム・シー ソサイエティ(Institute of Electrical and Electronics Engineers, Electromagnetic Compatibility Society))の最優秀論文賞であるRichard B. Schulz Best Transactions Paper Awardを受賞しました。

この論文は、2023年にIEEE Transactions on EMCで発表された208編の論文の中から最優秀論文に選ばれました。

  • 学会名
    IEEE EMC Society
    (アイ・トリプル・イー イー・エム・シー ソサイエティ(Institute of Electrical and Electronics Engineers, Electromagnetic Compatibility Society))
  • 受賞
    Richard B. Schulz Best Transactions Paper Award
  • 論文名
    Echo TEMPEST: EM Information Leakage Induced by IEMI for Electronic Devices
    (日訳:エコー・テンペスト:意図的電磁照射により引き起こされる電子機器からの電磁的情報漏洩)
  • 受賞者
    Shugo Kaji, Daisuke Fujimoto, Masahiro Kinugawa, Yuichi Hayashi
    (鍛治秀伍、藤本大介、衣川昌宏、林優一)
  • 論文の概要
    電子機器が動作すると、機器内部の電圧や電流の変化により電磁波が機器より外部へ放射されます。情報の窃盗を企む攻撃者によりこの電磁波が受信されることで、情報漏えいが発生します。この問題はTEMPESTというコードネームで冷戦時代の諜報戦で用いられ始め、現在でも機密性の高い情報を扱う際には、電磁波を漏らさない部屋で機器を用いるなど対策が行われています。
    しかし、全ての回路が受信可能な電磁波を放射するとは限りません。そこで本論文では、情報を漏えいさせない回路に対しても強制的に電磁波を通して情報を漏えいさせる問題について指摘しました。電子機器に電磁波を照射することで、機器を構成するICなどの半導体の状態(0や1のビットの状態など)を反映した電磁波がそのIC内部で生成され、機器外部へこだまのように跳ね返ってくる現象を発見しました。この現象を用いることにより、これまでTEMPESTでは安全とされてきた機器であっても、この電磁波のこだまをつかう攻撃「Echo TEMPEST」では無防備となってしまう可能性があります。実例として、パソコンのUSBキーボードでタイプした文字がEcho TEMPESTで盗聴されることを論文で示しています。
    対策手法として、電磁波を照射されたことを検知する方法や、回路上の通信内容を暗号化する事を示しています。
  • 論文へのリンク
    https://ieeexplore.ieee.org/document/10091474

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