2024年4月に開設した大学院に通う、修士1年生の遠藤裕一朗さんに現在の活動についてインタビューを行いました。インタビューは2024年8月時点のものです。
遠藤さんは本学情報学部で4年間を過ごした後、大学院である地域情報学研究科に進学し、倉本到教授(地域情報学研究科長)のゼミで活動しています。
研究テーマ
案内を行う自律対話ロボット
研究概要
・自律対話ロボットを用いた実験や分析
・ロボットへのChatGPT(対話文生成AI)実装など
研究のきっかけ・背景
情報学部2年生の時に共同研究(株式会社サイバーエージェント、国立大学法人大阪大学、西日本旅客鉄道株式会社近畿統括本部京滋支社福知山支店)によるプロジェクトの話が倉本教授から伝えられ、おもしろそう!と思い、研究し始めたのがきっかけです。地方では専門知識を持った人材が減少傾向にあり、サービスの低下が問題視されていますが、ロボットが単純作業を担い、複雑な作業は人が遠隔でロボットを操作しサービス提供の効率化をめざすプロジェクトでした。具体的には、福知山駅での案内業務を想定し、予めコミュニケーションロボット「Sota」(ヴィストン株式会社)に想定する質問や答えをインプットしたり、機械学習による人体検出により人の接近を感知すれば声かけできるようメッセージを登録したり、対話内容に関する情報を併設したモニターに表示するようにしました。
学部時代での研究課題
学部時代は、「次の電車の発車時刻は?」と聞かれた時を想定して時刻表を予め登録したり、ロボットに話かけてもらえるように簡単な挨拶文をインプットさせたりしていましたが、そもそも「ロボットに向かって話しかけてもらう」ということ自体が難しく、改札の出口付近に設置してみたり、みどりの窓口横に置いてみたりと初年度(2021年)は苦労しました。翌年度に再度行った実験の際には、機能を追加し、文字を表示するモニターも大きなものへと改良しました。福知山駅を利用する顧客は学生や子ども連れの家族など、近距離を移動する利用者が多かったこともあり、電車のサービスに関する説明よりもむしろクイズのようなエンターテインメント性のある対話に興味がある対象者が多いことが分かり、置く場所に応じた対話のコンテンツの選定も必要であると感じました。これらのことをまとめ、国士舘大学世田谷キャンパスで実施された「第202回ヒューマンコンピュータインタラクション研究発表会」で発表するなどしました。
現在、どんな研究に取り組んでいますか
それからすぐ、Chat-GPTをはじめとする生成AIが登場したため、質問や回答を予めインプットする作業が不要になりました。代わりに、話しかけられた質問内容を文字情報に置き換え、生成AIで自動的に質問・回答を準備し、ロボットにしゃべらせて回答する。という一連の流れをシステムに反映しました。その上で、間違った回答を防ぐために会話のプロンプト(指示)の実験を行ったり、新しい機能を試したりしています。現在は回答の質の向上を目的に、またどこかで実験したいと考えている所です。そして、「ロボットに向かって話しかけてもらう」という課題は引き続き改善途中なので、挨拶のパターンや話し方などの工夫をしていきたいです。
先生からはどんな指導がありますか
指導教員である倉本先生はいつも気さくに話かけてくださり、毎週実施している大学院生4名から成る倉本ゼミでは、研究の進捗を報告したり、次回までの方針などが伝えられたりしています。他のメンバーの研究内容も共有されるので、自然に意見が生まれ、お互いに刺激となり励みになっています。また、ゼミの時間外であっても自分たちが作業中に倉本先生がふらっと来られて、さりげなく意見を言ってくださることもしばしばあります。
学部生の頃と比べて生活リズムは変わりましたか
大学院生も講義科目を履修登録の際に選択しますが、学部生の頃と比べるとはるかに講義数が限られ、研究に集中できる環境だと感じています。初年度前学期の場合では、火曜:1科目、木曜:2科目、金曜:1科目を履修し、土日月曜はアルバイト、それ以外を研究や作業に充てています。
大学院をめざす方へメッセージ
大学院の魅力の1つは研究に打ち込める環境です。自由な時間が多く、講義での先生との距離も近く、議論しやすい環境です。そこでの議論や先行研究の調査をしているうちに、
自分は学部での研究をもっと続けたいという思いから進学を決めま