地域経営学部3年生・松林亜優さんが「国際物流と貿易の未来を考える学生フォーラム」で特別賞を受賞しました

2024.03.25

2024年3月11日(月)、「国際物流と貿易の未来を考える学生フォーラム」(主催:財務省他)が東京税関で開催され、地域経営学部3年生・松林亜優さんが研究発表を行い「特別賞」を受賞しました。

松林さんは、2023年11月頃に同フォーラムへのエントリーを行い、20チーム(78名)のエントリーがある中、書面による予選会を通過し、同フォーラムへの参加権を取得しました。

開催目的

国内外を取り巻く様々な社会情勢の変化が国際的な貿易や物流の世界に大きな変化をもたらしている現状を受け、各テーマに関する研究活動や本フォーラムでの発表を通じて、学生の皆さんとともに現下の課題や将来像について考え、学び合うとともに、税関職員や共催・協力団体職員との交流を通じて、学生の皆さんに税関業務や通関の実態について理解を深めていただくこと。

フォーラムの内容

午前中は税関施設及び航空貨物取扱事業者の施設見学を行いました。午後からは、参加されたチームごとに研究成果に関する発表を行った後、税関職員や共催・協力団体職員を交えた交流会を実施しました。最後に、研究発表に対する講評及び表彰式が執り行われ、「特別賞」を受賞された松林さんは青山学院大学・岩田伸人教授から表彰状を授与されました。

松林さんの研究概要

研究テーマ

日本の弓道文化を世界へ~日本製弓具の輸出入規制と品目分類について~

研究目的

競技人口の減少・高齢化が進んでいる現状を受け、弓道を続ける者として今ある弓道文化を残し、海外へ広めたいという思いから「日本製弓具の輸出振興による弓道文化の継承」を目的として本研究を開始した。

研究内容

弓は旧石器時代から狩りのために使用されており、鎌倉時代には人を殺める武器として用いられた。戦国時代には鉄砲の流通により、弓術として心身の鍛錬に代わり、現代では日本最古の武道である弓道として残っている。一方で、日本の弓道界では競技人口の減少・高齢化が進み、衰退の一途を辿っており、競技人口は日本で約13.4万人、海外で約4,500人で、海外で極端に少ない状況となっている。このまま競技人口が減少すると、国内外の弓具店は閉店を余儀なくされ、さらにはメーカーも生産中止に追い込まれると予測できる。このような現状を受け、以下2点の課題について検討した。

《課題Ⅰ》
動物の羽や皮革を使った弓具は各国の規制によって輸出入できない場合がある。例えば、オジロワシの羽でできた矢羽や水牛の角でできた筈(矢の一部)はワシントン条約に抵触する。さらに、輸出入実績の少ない弓具は統計品目番号・HSコードの選定が難しい。

《課題Ⅱ》
海外での弓道人口が増えれば、国内の弓具店の海外進出も考えられるが、弓具の輸送手段・輸送費用の課題が浮かぶ。なぜなら、弓具は少量でしか販売されないため、航空機での輸送が現実的だが、航空輸送は船舶輸送よりも割高となるため、輸送コストが高額になるという懸念があるからだ。

研究結果

《研究結果Ⅰ》
弓具に使用される動物製品においては「ワシントン条約」や「種の保存法」に抵触しない範囲での製造・使用が求められるため、弓具に使われる原料や素材を明らかにした。それらの原料や素材をもとに、弓具の統計品目番号を明確にすることで、通関や税関検査におけるスムーズな輸出が可能になると考え、独自に品目分類を行った。

《研究結果Ⅱ》
弓具店が海外進出するメリットは、海外の顧客に対する弓具に関する相談やオーダーメイド、修理が容易になることである。このようなメリットを輸送手段・輸送費用の課題により除外するのはもったいないと考え、輸送に要する高額な費用をカバーしながら弓具店の海外進出を可能にすることで、海外出店後に輸送費用以上の需要・収入が見込まれるのではないかと考えた。

まとめ

世界のグローバル化が進む中で、弓道は日本最古の武道として長きに渡って受け継がれてきた。スティーブ・ジョブズ氏が『弓と禅』を愛読されていたり、ゴディバジャパン株式会社のジェローム・シュシャン代表取締役社長が弓道五段の腕前を持たれているなど、日本らしさである袴姿の美しさ、「禅」の心は海外でも少しずつ受け入れられている。今後も弓道を日本の技術的価値として守りながら、更なる盛り上がりを期待し、世界へ発信していきたいと考えている。

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